20XX年〇月△日(休職から27日目)
今日は通院日。
前回の主治医からの治療方針は、
「仕事のことは考えない。
寝ることと食べることだけを
考えて過ごしてください。 」
こうだった。
既に約1か月間、自由に過ごしている。
社会人になってから、こんなに時間ができるとは思わなかった。
友人ともたくさん会えた。
もし今死んでも『やり残したこと』と悔やまないように、
やりたいことリストもどんどん減らしていった。
一方で、ずっとやりたかった夢が叶っても、
思ったよりも楽しめなくて、
どこか虚しさを感じてた。
これからどんな治療方針になるのだろうか?
主治医が変わる!?
「サトウサン、こんにちは!」
「その後、調子はいかがですか?」
おかげさまで以前のように全く寝付けない、
1~2時間で目が覚めて寝られないということは殆ど無くなった。
そして何より寝ようとすると、
仕事の嫌な記憶がリピート再生されることは無くなった。
あえて言うなら、会社の仲間が体調崩していないか心配なくらいだ。
別に僕は悪くないと分かっているけど、たまに罪悪感に苛まれる。
「サトウサンが気に病む必要は
ありませんよ。
今まで頑張ったんですから、
そのご褒美だと思いましょ!」
「睡眠が改善されて
良かったですねぇ!
順調に回復されてますね」
そのあと、主治医は驚きの話をする。
「サトウサン、実は私家庭の都合で、
勤め先を来月から変えるんです。」
え!?じゃあもう先生には見て貰えないの?
先生には良くして貰ってると感じてるので、なんだったら付いていきますよ!
先生は答えてくれた。
「次の勤め先は入院患者中心で、
病院の雰囲気も暗いので、
オススメできません。
新しい主治医にはきちんと
引き継ぎます。 」
「なので今日は少し先の話も
させて下さい。 」
休職2ヶ月目の治療方針は?
「サトウサンの場合、
過労だけが問題だったので、
あと2か月引き続き休んで、
その間に復職に向けて会社に
提示する条件を一緒に
考えて行けば良いと思います。」
条件とは、
「残業はしない」
「土日は仕事しない」
「昼食休憩は1時間取る」
「担当数を減らす」
「仕事の役割を分担する」
といったことだ。
嬉しかった。
僕には問題はなく会社に問題があると言ってくれた。
それだけで少し救われた気がした。
「何か不安なことはありませんか?」
1点不安材料があったので、正直に相談した。
「当社はみんな業務過多だと
思うんです。
だから条件付きで復職しても、
その分他の人の
負担が増えてたら、
結局残業しちゃって、
今の状況に戻っちゃうのが
心配なんです。 」
僕が思う今の会社の状況は、
仕事量が多すぎて、みんなが仕事を押し付け合っている感じだ。
だから自分だけが残業しないのが申し訳なくて無理をしてしまい、
また再発してしまうのが心配だった。
すると主治医から思わぬ提案があった。
新たな展開
「そうですねぇ。
実はカウンセラーからも
報告を受けていました。
サトウサンの場合、
あえて言うなら、
頑張り過ぎてしまうのが、
課題みたいですね。 」
そう、カウンセラーからも、
自分のことは顧みず、人のことばかり心配して無理してしまうのが課題と言われていた。
主治医曰く、「頑張りすぎてしまう」点については自己制御は難しいということだった。
続けて主治医が提案してきた。
「そこでサトウサン、
リワークデイケアを
受けてみませんか?
あと6か月休職期間を延長して、
頑張り過ぎてしまう自分を
見つめなおしてみませんか?」
どうやらメンタルケアについて独学ではなく、
予備校みたいなところで学べる場所があるらしい。
僕はそう捉えた。
ただお金も時間もかかるので、
諸々手続き等考えると6か月くらいは延長が必要ということだった。
6か月延長となると、最低でも9か月の休職になる。
流石に不安になる。
戻った頃には会社に、いや社会に僕の居場所はないのではないだろうか…。
今僕には2つの選択肢が与えられた。
- 2ヶ月休んでから条件付きで復職
- 6ヶ月休職期間を延長して再発防止を図る。
急に自分で決めなければならなくなった。
不安だ。そんなすぐには決められない。
暫く考える時間を貰うことにし、
1週間後に回答することになった。
これから先、いったいどうしよう。。。
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