この日から全てが変わった

休職日記(休職の心得)

20XX年〇月△日(休職する29日前)

今でも夢を見る。
気を抜くとフラッシュバックしてしまう。

僕にとっては、この日が休職に至る始まり。
誰も悪くない。ミスをした僕が全て悪い。

生きている価値はないと自覚した。
もう2度とミスはしないと強く誓った。

やっと代休が取れた

2ヶ月前の代休がやっと取得できた。
忙しすぎて取得できなかった。
休日手当として貰うことも考えたが、上司から圧力を感じ忖度せざるを得なかった。

ちょうどよかったかもしれない。
昨夜の接待は1時間以上叱責され続け、
朝4時までお付き合いすることになった。
とても仕事をやる精神状況ではない。
いまはゆっくり休もう。

ちょうど出張先の近くに行きたかった温泉宿があった。
いまは独りになりたい。
ゆっくり過ごそう。

その時は訪れた

それは温泉宿で夕食の時間になった時だ。
プライベート携帯に電話が掛かってきた。
宛先を見ると営業部のエースだ。

エースは多忙な人だった。
どんどん人が辞めていくなか、その穴埋めは僕とエースの2人で対応している状況だった。
あまり残業していないのが不思議なくらいだったが、
この人だけには迷惑かけられないと思っていた。

仕事用の携帯は電源を切っていた。
いま仕事の連絡を受けてしまったら、壊れてしまいそうだったから。
プライベート携帯にかかってくるって、何か相談事だろうか?
電話に出た。

サトウサン、お客様からの依頼書、対応した?
課長から「やれ」って言われたんだけど、どうなってるの!?

青ざめた。
その依頼書の山は覚えている。
あまりにも仕事量が多過ぎて、優先順位を下げていた。
経験則でその仕事は重要度が低いと思っていた。

お客様が大至急でやれって言ってるよ?
なんでやってないの!?

そもそも、そのお客様は課長から引き継いだ。
引継ぎはほぼゼロ。何も聞いていない。
引継ぎで伺っても「分からなかったら聞きに来い」で課長からは何も教えて貰えなかった。
あれがお客様にとって重要な仕事だなんて知らなかった。

私でも見てやり方わかるよ?

その先の電話のやり取りはあまり覚えていない。
「もういい、私やっとくから」って言われた気がする。
出先だからどうしようもなかった。

夕食に何が出てきたか、全く覚えていない。
頭が真っ白だった。
絶対迷惑をかけちゃいけない人に迷惑かけてしまった。
この罪を、どうやって償っていこう。

そして決意した

今まで、どんなに忙しくても、最低限の休息は取っていた。
ずっと仕事だと逆に効率落ちる。
だから週6日働いて、1日は休みを取るように心掛けていた。
お昼休憩も取って一日三食摂るようにしていた。
トイレにも行きたくなったら行くようにしていた。

仕事より命を大切にしなきゃと分かっていた

温泉、サウナに入っても、さっきの言葉がずっと聞こえてくる。

私でも見てやり方わかるよ?

エースに迷惑かけてしまった。
最近は仕事がどうしても終わらなくて、お客様にも迷惑かけている。
社内外に迷惑かけている。
責任を果たせていない。
ほんとうに、僕の命は大切なの?
こんだけ迷惑かけて。
生きてる権利あるの?

温泉には一泊二日で滞在したが、殆ど温泉のことは記憶にない。
ずっと、どうしたらいいか、そればかり考え続けていた。

「どうやったら改善できる?」
「どうやったら責任を果たせる?」
「どうやったら迷惑かけずに済む?」

この罪はどうやって償えばいい?
どうしたら許してもらえる?
こんな思いをするくらいなら・・・。

このときから始まった。
決意した。

命より迷惑かけないようにしなければ
責任を果たせるまでは、僕に休む権利はない。
週7日で働こう。
お昼休憩は最低限しか取らない。
締切に間に合うまではトイレにも行かない。

人に迷惑かけるくらいなら、僕に生きている価値はない。

僕は誓った。

もう二度とこんな思いはしない。
もう二度と人に迷惑かけない。

そのために死に物狂いで責務を果たそう。
それでもダメだったら、仕方ない。

すべてを尽くしてダメだったら、死んで償おう。
固く決意した。

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