20XX年〇月△日(休職から291日目)
ふと同僚や先輩が進めていたプロジェクトを街中で見かけた。
順調に進んでいるようで何より。
写真を撮って先輩にLINEを送る。
かつては僕もその渦中にいた。
そのプロジェクトは直接担当していないけど、
似たようなプロジェクトを達成するために全身全霊で取り組んでいた。
思わず思い出す。
会社の仲間と口角泡を飛ばしていたことを。
お互いの立場と苦難を前に励まし合ったことを。
愚痴を言い合ったり讃え合ったりしたことを。
今、僕はその場にはいない。
輪から外れてしまった。
あの頃築き上げてきた様々なモノが今の僕の目の前には無くなってしまった。
何だったんだろうな。あの日々は。
さびしくなる。虚無感。
気付けば暗くなっていた夜空を呆然と見上げていた。
さっぱりした返信

先輩から返信があった。
「ありがとう。」
シンプルな内容だった。
同僚や他の人からもLINEした時の返事は似たような感じ。
そもそも営業部のみんなから連絡が来ることは殆ど滅多にない。
僕が働いていた時どうだっただろう。
同じように休職した人に対して、気を遣って連絡できなかった。
それに何より、その場にいない相手を気遣う余裕は無かった。
自分が日々生き残ることだけで精一杯。
毎日の任務を全うすることだけで限界だった。
みんなも同じなのだろう。
それは分かっている。
でも自分勝手に悲しみを覚えてしまう。
あれだけ必死に守りたいと思った場所は、
いざ離れてみると、思ったよりひんやり感じた。
虚無感と気落ち

夜空を見上げながら、いろいろなことを思う。
考えはまとまらない。
でも、なんか色んなものを失ってしまったなという寂しさ。
ココロにぽっかり穴が開いたような感覚。
空はどこまでも続いていて、気を抜くと暗闇に吸い込まれそう。
このまま歩き続けて、どこにたどり着けるのだろう。
僕はどこに行きたいのだろう。
それも今はよくわからない。
かつては「ひとにやさしい会社をつくる」という志があって、
いち従業員に過ぎないながらも、自分の手が届く範囲で尽力してきた。
忘己利他の精神で努めてきたつもり。
でも、今はその志に虚しさを感じる時もある。
ひとにやさしくなりたい。
幸せになりたい。
幸せでありたい。
約10年間歩んできた道は、そうあれたのだろうか?
得られたものもある

でもよくよく考えると、夜空を見上げられるようになったんだな。
休職直前は同じ夜道でも、地面ばかり見つめていた気がする。
それだけでも大きな前進じゃないか。
それに素敵な縁も得られた。
音信不通だった先輩と定期的に会えるようになった。
リワークデイケアで心優しい人々に会えるようになった。
世の中にはこんなにも優しい世界・やさしい人々が沢山いる。
そんなやさしい人々が傷付いている事実がある。
働いていた時には気付けなかったことだ。
そして自分に足りなかったことも少しだけ理解出来た気がする。
それは「心身の健康的な生活」だ。
相手を大切にするだけじゃなく、自分の健康も大切にする生き方じゃなきゃダメなんだ。
睡眠時間,食生活,ゆっくり過ごすこと。
こういった時間をちゃんと残して大切にしなきゃいけないんだ。
当たり前のようなことだけど、今まで出来ていなかった。
そういえば、休職してから暫く経つけど、以前より被害者意識が薄れたかもしれない。
前はもっと上司や会社、お客様を恨んでいた。
今も許せない気持ちはある。
でも、嫌いではない。
一方的な被害者意識で居座り続けるのではなく、
その意識を持ちながらも少し立ち上がって空を見上げてみようかなって思い始めてきた。
失ったものだけじゃない。
得られたものもたしかにある。
大丈夫。生きていれば良いことある。
大丈夫。生きていける。
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