背負い過ぎていたんだ

休職日記(休職の心得)

20XX年〇月△日(休職から153日目)

カウンセリングの日。
いつものように定刻になり、カウンセラーから質問を受ける。
「最近いかがですか?」
そこから最近の調子を話し、そして質問を投げかけられ話が進んでいく。
話が深掘りされていく。

カウンセリングで分かったことは恐怖心だ。
だんだんと復職に対する想いが薄れていく。
休職1~3ヶ月目は早く戻らなきゃってどこかで思っていたのかもしれない。
でも、すでに会社は僕がいなくても回っているし。
今さら急いで戻る理由もない。
むしろ復職に対して怖いって思っている自分が居ることに気付く。

すり抜けられなかった

なにが怖いんですかね?

カウンセラーからの質問だった。
なぜ復職怖いなんだろう?
質問が繰り返される。
さまざまな質問が続いていく。
そのなかでひとつ導き出された。

もしかしたら、背負わされるのが怖いのかもしれません。
今までを振り返ると、責任や過剰な仕事量を背負ってきて、
それが辛いって思っているのかもしれません。

例えば、僕はプロジェクトリーダーを担っていた。
部長が上層部会議で発表する報告書を作ってきた。
多くの重要顧客を担当してきた。
そんな仕事と併せて、社用車の管理係やゴミ捨て係も担ってきた。

社用車の管理やゴミ捨て係なんて新入社員の仕事だ。
僕より若手社員もいる。
でも若手社員はみんな女性だった。
数年前に、幹部職社員が言ってきたことを思い出す。

そういう雑務はオトコがやるものだ!

会社に勤め続けて約10年。
僕の中で、ゴミ捨てや社用車管理などの評価されず面倒な仕事は、
オトコがやらなければならない、
いや、サトウサンがやらなければいけないと思い込まれてしまった。
女性推進が叫ばれる昨今だから、
女性社員には成果が見えやすく評価されやすい仕事に集中してもらうべきなんだって、
そんな空気感を勝手に感じ取っていた。

「私がやります」なんて声はあがらなかった。
みんな自分の業務だけで手一杯だった。
ただでさえ忙しいのだから、成果を出すことに専念したい。
雑務に手を伸ばす者がいるわけなかった。
仕事がデキる人ほど、すり抜けるのが上手かった。

それでも休職前は業務量が多すぎて、流石に限界だった。
だから上司に相談した。
課長は「それでもサトウサンがやれ」。
部長は「考える」と言って数日後に言ってきた。

A顧客とB顧客を別の人に担当移すことにした。
だからその人にちゃんと引き継ぐように。

雑務は僕の手元に残り、育ててきた顧客を他の人に譲ることになった。
しかも、引継ぎ作業があるので、むしろ負担は大幅に増えた。
その約1ヶ月後、僕は休職することになった。

戦地に向かう兵隊

サトウサンの話を聞いていると、第二次世界大戦の日本兵を彷彿とさせますね。

カウンセラーが渋い顔をしながらつぶやいた。

上官には玉砕なんて間違っていると訴えたのに、聞き入れて貰えなかった。
軍内は玉砕反対なんて言えない空気になっていた。
だから「ハイもうわかりました。華々しく散って見せます」と言うしかなかったんですよね。

そうか、僕の会社は第二次世界大戦の日本軍と同じなんだ。
そして僕は突撃して、九死に一生を得て生き残り、
気付けばベッドのうえで安静にしていたって感じなのかもしれない。

それじゃ、不信感は積もっていくばかりですよね。
だってサトウサンにすべてを押し付けて、サトウサンはそれを我慢するしかないんだもの。
会社の人たちを心から信じることは難しいですよね。

そうか、僕は今までの辛かったことが積み重なって、不信感として残ってしまっているのか。
その認識は僕の中にはなかった。

不信感を持ちながら、また会社に戻ろうとしている。
そりゃ恐怖心を感じて当然ですよね。

そうか、だから僕は怖いと思っているのか。
もしかしたら、新しい職場も検討しなきゃいけないのかもしれない。
でも今はゆっくり休もう。
そういう一面もあるかもって気付けただけで、今は良い。

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