20XX年〇月△日(休職から163日目)
今まで行ったことの無い場所へ行こう。
ずっとテレビやネットで気になっていたけど行けなかった場所ってあると思う。
それは画面の空想上の世界ではない。
現実にある場所だ。
学生の時は時間があるけどお金がない。
社会人になるとお金はあるけど時間がない。
そうやって結局、行きたくても行けない日々が続いていく。
両親の話では、高齢になるとお金も時間もあるけど、体力が無くなるらしい。
しかし休職したいまはどうだろう?
時間もお金も体力もある。
あと必要なのは行動だけだ。
主治医からは静養を勧められている。
でも、ずっと家の中にいるだけでは視野が狭まってしまう。
家の近所だけでは飽きてきてしまう。
だから、視野を広げるためにも、ときには足を伸ばして新天地に行くことも必要だと思う。
ココロを休めるためには。
車じゃなきゃいけない場所
ずっと気になっていた場所があった。
そこは水がとても素敵らしい。
しかし残念なことにバスや電車が殆ど通っていない。
そして時間を潰すカフェなどのお店も見当たらないときた。
だから車で行くしかない。
マイカーが無い僕にとっては二の足を踏んでいた。
さらに結構な距離を走らなければならないから、「時間がない」と言い訳して諦めていた。
時間・お金・体力。
すべて揃っているのは今しかない。
重い腰を上げて、レンタカーを借りることにした。
いざ到着!
高速道路を下りると、まるでトトロの世界。
初めて来たのに、郷愁の気分になる。
普段の生活とは全く違う景色だった。
少なくとも、休職前のオフィスビル群の毎日では味わえない空気だった。
「ここに来てよかった」
既にそう思えた。
まだ世の中にはこんなにも長閑な風景が存在していたって知れただけで幸せだった。
人間、生きてればどうにかなる。
過労で倒れても、立場を失っても、貯金が減っていっても、
その気になればいくらでも幸せになる方法はある。
この場所は既にそう教えてくれていた。
でも、目的を忘れちゃいけない。
ここの湧き水は飲むことができ、水風呂は最高と聞いた。
まずは湧き水を飲むことに。
空きペットボトルを持ってきてよかった。
そこに水を汲んでいく。
隣では2Lペットボトルを数十本分組んでいるマダムが居た。
地元民の生活水になっているようだ。
飲んでみると本当に無味無臭。
喉越しも無く、飲んでも後味が無い。
だからこそスッキリしていて美味しい。
これが天然水なのか。
飲めて良かった。
ちなみにサウナと水風呂は最高だった。
特に水風呂はTOP5に入る気持ちよさ♪
初めてサウナ15分⇒水風呂5分⇒休憩1分というスケジュールになった。
いつもは休憩時間が一番長いのに、水風呂を味わいたくて温冷交代浴が激しくなってしまった。
また来たい。そう思える場所だった。
念願の後輩オススメ店
車で長時間運転し、やっと返却。
気付けば暗くなっていた。
しかし未だ帰宅ではない。
休職前。
後輩が良く言っていた。
人生で一番かもしれないお寿司屋がある。
是非一度行ってみて下さいと。
その時は「今度行ってみるよ」と言いながら、結局行けずじまいだった。
今日行こう。
別になんてことない会話だけど、「今度行くよ」と言ってしまったんだ。
軽い会話でも約束は約束だ。
時間かかってしまったけど、約束を果たしに行こう。
お店は人気店らしく、長蛇の列になっていた。
暫く並んでやっと入店。
後輩のオススメネタを忘れてしまったので、大将にお任せすることに。
特に美味しかったのはアナゴ。
炙りの食感はありながら、中はふわふわで味も染み込んでおり、大変美味。
でも何よりうれしいのは、いつか後輩に話せることだ。
「あの寿司屋、メチャクチャ並ぶね」
「色々食べたけど、特に〇〇が美味しいね」
いつか話せる日が楽しみだな。
お金もかかるし、疲れるし、時間もかかる。
なかなか重い腰を上げる気になれないけど、行動に移して良かった。
経験出来て良かった。
今なら「〇〇行ったよ。特に△△が良いよね」って自分の言葉で語れる。
初めての場所は戸惑うけど、行って良かったと心から思える。
普段と違う五感を味わうことも、たまにならココロの休息になるんだと思えた。
コメント