20XX年〇月△日(休職から306日目)
いつ以来だろうか?
ざっくり7ヶ月振りになると思う。
人事部長と面談する日がやってきた。
初診の「3ヶ月休職推奨」の段階では毎月1回お会いしていた。
しかし、「軽躁状態」と言われて休職無期延期となり、
何もせずゆっくり過ごすことを診断された。
いわゆる「静養期間」というやつだ。
先のことは一切考えないで下さい。
いまはただ、ゆっくり休みましょう。
主治医にそう言われ、人事部長と会うことも控えることになった。
それ以来、会社の人には殆ど会っていない。
いや、全く会っていないと思う。
久しぶり過ぎて、とても緊張する。
少し呼吸が浅くなるし、手も心なしか震えている気がする。
不安だけど、少しだけ。
ほんの少しだけ、勇気を出そう。
たった一歩だけ前に進んでみよう。
今までの学びが役に立っている

人事部長と最寄り駅で落ち合えた。
軽く挨拶した後、ご希望の飲食店をお聞きする。
「特にないから任せるよ」
それだったらと、僕はゆったりとした時間が流れる喫茶店を希望し、了承を得た。
なぜここにしたか?
理由はココロを落ち着ける場所だからだ。
ここまででも自分の変化,成長を感じる。
以前なら、前回会った時は「人事部長が気に入りそうな店」を選択してた。
人事部長が好みそうな鮮魚系でチェーンではない美味しい店。
何候補か事前にリストに挙げ、自分にとっては落ち着かない店を選んでいた。
つまり、自分を蔑ろにして相手を大切にしてきた。
今回は人事部長の希望を先に聞きつつ、
その希望を踏まえた上で、自分が行きたい店を選んだ。
自分が行きたい店も、「自分の心身が健康で居られる」という判断基準。
まさしく、「自分も相手も大切にする」選択肢を選ぶようになった。
自分の健康を大切に考えられるようになったのは、
以前と違う成長点だと思う。
店に入ってからも、
「ゆっくり動作する」
「気が楽だなぁと思うことをする」
を意識することで、自分のペースで話せたと思う。
緊張も恐怖心もあったけど、それを同居させながら自分のペースを保てたと思う。
うん、今まで学んできたこともちゃんと活きてる。
大丈夫、立ち止まっても学べている。
立ち止まったからこそ前に進めている。
僕がいなくても会社は成長する

最近の会社の状況を聞いた。
どうやら過去最高売上を記録したらしい。
このご時世に大したものだ。
みんなの頑張りの賜物だろう。
休職者は同じ部署で僕のほかに2名出たらしい。
2名とも僕が休職した後の話だ。
危惧していたことが起きてしまったという想いと、
あの過酷な環境で2名で済んでいるのかという想いが交じり合った。
いろいろな事情で休職する人がいる。
残された社員からは不満の声もある。
でも、サトウサンの休職に関しては、ウチの会社では誰一人悪く言う人はいないよ。
これは断言できる。
恵まれているなと思う。
どんな事情であれ、一人抜けたら、その分残されたメンバーに負担がかかる。
文句の一つでも言いたくなるのが人間だと思う。
それなのに、僕の耳には全く入ってこない。
たしかに週7日働き、毎日23時半まで残業、昼休憩も削って、
死ぬ気で責任を果たそうとした自負はある。
それでも、恵まれているなと思う。
一方で、会社は最高売上を達成。
僕がいなくても会社は成長する。
あんな健康を崩してまで、文字通り身を削ってまで会社に尽くす必要は無かったんだ。
僕が頑張れなくても、会社は他の方法で成長していく。
僕の健康は、僕にしか守れない。
心身の健康的な生活を最優先にすべきだったんだ。
はっきりと感じ取ることができた。
今後について

サトウサンは営業に戻りたいと思うかい?
人事部長に聞かれた。
正直、分からない。
会社にとっては、営業で働くことが最も役に立てるだろう。
約10年間のキャリアほとんどが営業だったんだ。
人員不足だろうし、それがベストなんだろう。
でも、もう以前のような働き方はできない。
お客様から夜中の3時にLINEの返信を強要されても無理だし、
12連勤とか、月間6日の休日出勤とか、土日は働かずに心身のケアにあてなきゃいけない。
食生活も睡眠も健康的に過ごしたい。
カウンセリングなども継続していく必要がある。
これからは健康的な生活,健康的な行動パターン,健康的な働き方が必須条件だ。
会社としてはどう考えてらっしゃるのですか?
思いの丈を伝えた上で、質問した。
人事部長の考えとしては、僕のキャリアを踏まえた上で、
いくつか部署の候補を挙げているらしい。
ただ、その方向性をハッキリさせるのは未だ先の話だと思っている旨、教えてくれた。
そう、僕が復職する目途が立ってからってことらしい。
営業部長からは、営業への復職を希望しているっぽいことも教えてくれた。
サトウサンがやりたい仕事を考えてみるのが良いと思うよ。
やりたい仕事が出てこないようだったら、
どんな仕事が得意か、どんな仕事が苦手か。
今までどんな仕事が辛くて、どんな仕事にやりがいを感じたか。
一度考えてみてごらん。
有難いことに、人事部長は親身になって色々考えてくれているみたいだ。
僕にはまだ複数の候補が残っている。
恵まれているんだろうな。
少し寂しくも前向きに考えられた。
久しぶりの人事部長との面談も無事終わった。
お互い気持ちよく別れられたと思う。
心身の健康を最優先に大事にする。
これが以前より出来ていることなのかもしれない。
大丈夫、少しずつ前に進めている。
大丈夫。
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