友人と鰻尽くし

休職日記(休職の心得)

20XX年〇月△日(休職から24日目)

独り暮らしを始めてから日課にしていること。
それは毎日1回必ず実家に電話すること。
この日もいつも通り電話したら、父から言われた。

テレビで安くて美味しい鰻屋さんの情報やってたよ。
遠くないところだし、行ってみたら?

父親も心配してくれているようだ。
気遣いが有難い。
そうだな、くよくよしていても仕方ない。
自分を責めてばかりいても仕方ない。

過労で倒れるまで頑張った自分へのご褒美。
すこしは自分のことを労わろう。
すこしは自分のことを褒めてあげよう。

父が前から言っていたこと

父の電話越しの気遣いが有難い。
父は優秀な営業マンだった。
かなり出世もして、同じ会社員として尊敬している。

そんな父と違い、途中で過労で休職してしまい、面目なかった。
ダメな息子で申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

しかし、父は責めるどころか、労わってくれた。
「それで良かったんだと思う。」
有難かった。

そういえば、父は電話越しで、かなり前から言ってくれていたのを思い出す。
1年くらい前からだろうか?

話を聞いている限り、会社がサトウサンに頼り過ぎている。

仕事は一人の社員に頼り切っちゃいけない。
誰でも出来る仕組み作りが大切なんだ。

休職したら?
サトウサンの健康のためにも。
そして会社が生まれ変わるためにも、一度休んだ方が良い。

前に勉強動画で「原因自分論」って話を学んだ。
自分が悪いって責めるのではない。
『他人は変えられないが、自分は変えられる』って考えだと思っている。

そうか、考え方を変えれば、自分が頑張り過ぎていたから、
会社も僕に依存してしまい、業務過多になっていたのか。
そう考えると、休職したのは長い目で見て会社のためになったのかもしれない。
「原因自分論」で見方を変えてみると、みんなのためにも休職して良かったのかもしれない。

友人に感謝

友人を誘ってみる。
すると、快く予定調整してくれた。

友人たちも自分の仕事があるから、そう簡単に空いているわけではないはずだ。
「いつでも声かけてくれよな。」
休職直後、みんなに報告した時にも直ぐ会ってくれて、
その時に心配してくれて言ってくれた言葉だ。

安く鰻が食えるなんて最高じゃん!
直ぐ行こう!

安いと言っても3000円前後はする。
色々な人間関係があったが、こういう人たちとの関係を何よりも大切にしたい。

習慣化された早起き

なかなか寝られなかったのに、朝7時前には起きてしまった。
睡眠時間でいったら3時間くらいの感覚。
眠いはずなのに、眠れない。
仕事の習慣がなかなか抜けない。

今までは疲れが蓄積したまま、溜まった業務と責任をどう解決するか悩みながら、
身支度をして駅に向かっていた。
今はそれをしないで自由でいいはずなのに、習慣に束縛されたままだ。

まださすがに友人誰一人、起きていないだろうな。
約束の時間まで、まだかなり余裕がある。
仕方ないから、早めに鰻屋さんの最寄り駅まで行き、
喫茶店で読書することにした。

喫茶店は人が疎らだった。
朝から優雅にコーヒーを飲み、本にふける。
今までも読書をしようと意識してきたつもりだが、
なかなかどうしても集中できなかった。
もっとマイペースで本を読めないかと憧れてきた。

朝から静かな空間で本を読む。
今少し、幸せを感じている。

お待ちかねの鰻

友人と合流し鰻屋へ。
驚いたことに既に並んでいた。平日なのに。
友人はよく分からないスマホゲームに勤しんでいる。
こうやって変に気を遣わないで過ごせるのが有難い。

そしてお待ちかねの鰻重特上。
これで4000円しないのだから安いと思う。
それにしても鰻重なんていつ以来だろう。
休職前は、とにかく時短で済む食事ばかりだった。
直前の1ヶ月間はカロリーメイトのようなモノしか食べていなかったっけ?

あの時は責任を果たすことだけしか眼中に無かった。
スーツ姿で過ごす空間が世界のすべてだった。

僕の求めていた自由と幸福は、その狭苦しい世界から離れると、こんなに近くにあったんだな。
今は少しだけ、自分を労わろう。

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