20XX年〇月△日(休職から194日目)
産業医と面談するのはいつぶりだろう。
そうだ、約4か月ぶりだ。
本当はその間に一度面談の話は出たのだが、
予約満席で見送りになったんだ。
そう考えると、会社のみんなは変わらず大変なんだろう。
産業医面談が予約一杯になっているのだから。
ちなみに産業医とは労働者を専門とする医師で、
僕の勤める会社に不定期で通っている方だ。
当社の社員を診てくれている。
主治医は僕が通う病院の心療内科医で別人だ。
面談は電話で行う。
未だ会社には来ない方が良いということで、電話になった。
ZOOMなどはパソコンが無いためできないらしい。
他の社員とは保健室面談だから、喫茶店で面談というわけにもいかないようだ。
約束の時間になったが、着信ナシ。
どうやら、他の患者(社員)で遅れているようだ。
一体何を話すんだろう。
待ち時間分、緊張してくる。
結局15分遅れで始まった。
さあ、どうなるんだろう。
今後どうしていくか?
久しぶりに産業医の声を聴いた。
サトウサン、お久しぶりです。
約4か月ぶりですね。
メールでは近況きいておりましたが、その後どうですか?
いつも主治医に話しているのと同じ内容を産業医に伝える。
これはいつも同じだな。
なるほど。
メールでも拝見し、あと約2ヶ月休職予定ですが、
その後どう考えていますか?
その後か・・・。
主治医には「先のことは考えないで下さい」と言われていたので、
最近は考えていなかったな。
僕はどうしたいのだろう。
今の生活には満たされている。
今まで自分の時間が一切無かったのに、今は自分の時間しかない。
(休職前は週7日で仕事をしていた。)
今まで出来なかったこと、やりたかったこと、やるべきことを少しずつ達成できている。
何より、何もせずぼぉーっとする時間ができた。
何もせず無駄で贅沢な時間を過ごせている。
睡眠時間も3~4時間から不眠症になってしまったのに、
今では10時間くらい寝れている。
これが幸せなんだろう。
でも一方で、働いていた時も恵まれていたんだなと思うことが増えた。
周りからは一目置かれていたと実感しているし、少なくとも侮蔑されてはいなかったと思う。
上司からも評価され自分の裁量で仕事させて貰っていた。
ただ、圧倒的に仕事量が多すぎたこと。
圧倒的引継ぎ不足な状態で大きなプロジェクトを担わなければいけなかったこと。
そのお客様の厳しい要求に答えられなかったこと。
上司に相談しても助けて貰えなかったこと。
それだけ不遇だった。それだけだ。
今の生活は幸せなはずなのに、たまに不安感と退屈さを感じる。
貯金が目減りする不安。
何もしていない不安。
もう1回、働いてみてもいいかもしれない。
でも、あの時のような働き方はもう無理だ。
週7日、昼食15分、毎日夜11時半まで労働は耐えられない。
またあの職場環境で働けるのか?
転職など新しいことにチャレンジする気力もない。
自分がこれからどうしたいのか、分からなかった。
次に進めた感覚
その気持ちを、そのまま主治医に伝えてみてはどうですか?
産業医からの返答だった。
自分の纏まりの無い感情に対して。
主治医もきっと、今後のことを考えているはずです。
サトウサンの今の気持ちを伝えて頂ければ、きっと答えてくれますよ。
そう言われて気付いたことがある。
そういえば、自分の心境も変わっている。
休職したばかりの頃。
最初の1~3ヶ月の心境は、
3ヶ月間で如何に充実した時間を過ごし、
3ヶ月後で復帰するか。
初診で「3ヶ月の休職推奨」と診断されたので、
3ヶ月間で復職することを意識していた。
3ヶ月間で濃厚なプライベート時間を過ごす為に予定もギュウギュウで、
休んでいるのに疲れた感じだった。
休職して4~6ヶ月の心境は、
今さら戻っても手遅れ。
今は先のことを考えず、自分のためだけにゆっくり休もう。
休職期間を満喫しよう。
最早はやく働きたいなんて、これっぽっちも考えていなかった。
休職できていることに感謝し、楽しむことに専念していた。
それがいま、休職していても退屈さを感じ、
働けていた時も恵まれていたのではないかと思えている。
前に主治医が、
そろそろ働いてもいいかなって思えたタイミングが、復職を考えるタイミングですね。
と言っていた。
もしかしたら、今の心境・感情がそれなのかもしれない。
少し前に進めた気がして、産業医との電話面談は終わった。
次の診察日に主治医に相談してみよう。
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