20XX年〇月△日(休職から3日目)
今日は休職してから初めて実家に帰省。
そうは言っても休職前は月1回の頻度で帰っていた。
実家に帰って、日頃の悩みや鬱憤を聞いて貰いながら、デスクワークに励んでいた。
休職直前の1か月間は1~2週間に1回帰省していた。
休日になれば帰り、仕事をさせて貰っていた。
そうしなければ生活が回らなかった。
お金の問題ではない。
時間が足りなくて、家事をやることが出来なかった。
だから帰省しても懐かしさはない。
日常とそんな変わらないだろうと思っていた。
でも違っていた。
休職前と後で、こんなに世界が変わると思わなかった。
手持無沙汰?
いつものように帰省し、両親に挨拶。
荷物を置いて、部屋着に着替え、手洗いし、お茶を飲みながら軽く談笑する。
ここまでは変わらない。
さてそろそろパソコン・・・っ!?
鞄が軽い。そうだ、もうノートパソコンは無いんだ。
今は休職中で、パソコンは会社に返却したんだ。
いつもならここから溜まっているデスクワークを始める。
周りから声を掛けられることも、仕事を中断されることも、騒音もない。
マイペースで仕事に励めることに幸せすら感じていた。
そうか、もう仕事しなくていいんだ。
どうしよう汗。何しよう。何すればいいんだ?
いつも時間があれば仕事しかしていなかったから、どうすればいいか分からなくなる。
でも、ちょうどいいや。
いまは、なにもしたくない。
なにもかんがえたくない。
しばらく、気の向くまま、気が済むまで、ソファで天井でも眺めていよう。
TVをちゃんと見たのは久しぶり
少し眠り、天井を眺め続け、意味もなくスマホをいじっているうちに食事。
本来なら支度を手伝うべきなのに、両親は何も言わず、気付けば準備が終わっていた。
さりげなく気遣ってくれる両親に感謝。
軽く談笑しながら食事を楽しむ。
そして後半になるとテレビを眺める。
ここでハッとなる。
久しぶりに内容が頭に入ってくる・・・!
今までも実家に帰った時は、食事中テレビを見ていた。
しかし、頭の中では仕事のことを考え続けて、もはやBGMと化していた。
今も頭はボーっとしている。
時に前線から離脱してしまったことに不必要な罪悪感を覚える。
まるで今この瞬間が夢のような感じで現実味が無く感じる。
しかし、ふとテレビの内容が頭に入ってきた。
「いま世界情勢はこうなっていたのか」
恐ろしいことに、初めて世界情勢や時事問題などを理解できた。
もちろん、言語やキーワードとしては知っていた。
しかしそれはあくまで文字を知っているだけで、それが意味することを分かっていない。
いつも会社や取引先、そして業界の情報収集に手一杯で、
そういった狭くて深い世界のことしか考えていなかった。
よくよく考えると学生以来だな。
テレビを見ながら両親との会話を純粋に楽しむ。
いつもは必ず頭の大半を仕事が埋め尽くしていた。
その業務の課題は僕のもとを離れている。
束の間、幸せを感じた。
そして眠れない夜
そして夜になると眠れない。
目を瞑ると、考えてしまう。
みんなに迷惑をかけてしまった。 どうやって償おう。
そして過去の辛い場面が紙芝居のようにメチャクチャにフラッシュバックする。
どうしてやってないの!?
俺なにも分からないから、あとよろしく。
お前のプライベートの電話番号教えろ
そうじゃなくて、他に業務の伝え忘れは無いかって聞いてんだよっ!
やはりサトウサンじゃダメですね。
前々任の方が良かった。
これでダメなら自死しようと覚悟を決めて仕事に取り組んだ。
でも、どうしようもなかったんだ。
そうココロで言い訳しながら、気付けば枕が濡れていた。
これから先、どうなるんだろう。
眠れないのに、意識は朦朧と微睡んでいた。
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