過去のお客様と会う

休職日記(休職の心得)

20XX年〇月△日(休職から76日目)

休職すると人に会うのが不安になる。
家族や親友なら大丈夫。
休職してから心配して小まめに会ってくれるから、むしろ安心感がある。

でも、仕事仲間に会うのは不安になる。
休職して2ヶ月以上。
それだけ空いてしまったし、仕事から離れてしまっている分、気まずさがある。

今回、昔仲良くさせて貰っていたお客様から「会おう」と連絡があった。
正直、不安だ。
でも、昔凄くお世話になったし、筋を通したい。
勇気を出して、お会いしてみた。

空気のすれ違いを実感

オウ、サトウサン、元気してた~?

お客様の家から近い繁華街で待ち合わせると、軽いノリで挨拶された。
休職中なので、そんな元気ってわけでもない。
ちょっと空気の違いを感じた。

お店に入り、乾杯。
もう一人、お客様の紹介で知り合った方も来る予定だが、少し遅れているようだ。
先に二人で始める。

「最近どう?何があったの?」と聞かれたから、正直に経緯と近況を伝える。
過労で倒れたこと。
お客様からの過剰要求。
上司に相談しても解決されなかったこと。
死ぬ覚悟で仕事に取り組んでいたこと。

あ?大変だったね~。
じゃあ会社辞めちゃお☆
それで解決~!

僕にはネタにして笑い飛ばそうとしているように感じた。
僕にとっては一大事だった。
これでダメなら命を持って責任を取ろうとまで追い込まれたのに。
それを軽く笑い飛ばされるなんて冗談じゃないと思った。

僕、真剣に悩んでるんです。
そうやって冗談にされるのなら、もう帰ります。

我ながら意外だった。
以前ならお客様だし、何かとお世話になっているから、
多少笑われようと不快なことを言われようと我慢して笑顔で応えてきた。
今は素直に自分の気持ちを表現できている。
休職に追い込まれるまで死ぬ気で励んできた分、少し成長できたのかもしれない。

ちょ!冗談じゃ~ん。
そんな怒んないでよ~。
ノリ悪いな~。
最近仕事でこんなノリなんだよ~。
許してよ~。

お客様が最近大変な仕事をしていることは知っていた。
そっか、全て冗談で軽く受け止めないと耐えられない環境なのかもしれない。
そう考えると、溜飲が下がった。

貴重な出会いもある。

すると、遅れていた知人が到着。
彼は凄く空気が読める方で、前からコミュ力高いなって敬っていた。

サトウサン、聞きましたよ。
休職したんだって?
大丈夫?
良かったら話聞かせて。

僕はもう一度同じように経緯と近況を話した。

そうか。
でもサトウサンが無事で本当に良かった。
今日会えてよかったよ。
思ったより元気そうで安心した。
今まで頑張り過ぎだったし、今はゆっくり休みなよ。

さっきと全然違う。
凄く思いやりに溢れる反応だった。
気付けば自然と会話が続いた。
さっきまで辛い出会いだったけど、良い出会いもあるんだなぁ。
出会いの数だけ辛い思いもするけど、中には素敵な縁も生まれることを実感した。

飲み会が終わり、お客様に御礼の連絡。
嫌な思いもしたが、会おうと思って貰えたことは御礼を伝えるべきと思った。

こちらこそ。
今日はサトウサンが辛いのに気付けず好き勝手言っちゃってごめんね。
また飲み会企画するから、その時呼ぶね。

お客様から回答が来た。
今までは不快なことを言われても我慢してきたが、
時には正直な思いを伝えることで、お互いの理解を深められる時もあるんだなぁ。
また少し、コミュニケーションを学べた気がする。

休職したら辛い。
人と会うのが億劫になる。
だから自分に素直になっていい。
辛かったら無理しなくていいし、不快に思ったら正直にその気持ちを伝えてもいい。
そうすることで、良いご縁だけを育むことができると思うから。

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